君たちはどう生きるか─2冊まとめて読んでみた!

「君たちはどう生きるか」小説とマンガ2冊

まとめて読んでみました。

すでに知っている人もたくさんいると思いますが、この「君たちはどう生きるか」は1937年に初めて発行されました。1937年といえば日本が中国と泥沼の戦争(日中戦争)に突入した年です。そしてその4年後には太平洋戦争が始まります。

日本の暗黒の10年が始まる、そんな時代にこの本は書かれました。あれから80年の時を越えて今年の8月羽賀翔一さんによってマンガ化され発売されました。発売以来わずか4ヶ月で95万部のベストセラーになっています。

マンガの売り上げ部数ってよくわからないけどネットで調べてみると「こち亀」が169巻で1億4200万部ということは1巻当たり84万部、だったら発売4ヶ月で95万部ってすごいのかな?ちなみにONE PIECEは全61巻で2億2000万部らしい。1巻当たり360万部!これは桁違いだけどね。

またマンガと同時にこの名著は新装版で同時発売され、小説だけでも24万部を売り上げているそうです。ちなみに小説で10万部売れたら成功らしいですよ。2015年又吉の書いた「火花」は年間223万部でダントツ1位だったそうです。

作者は吉野源三郎という人です。1899年の明治生まれ。日露戦争が1904年ですから中学生のみなさんにとっては半分歴史上の人物といってもいいかもしれません。

吉野源三郎さんは児童小説家でありながら戦後のオピニョンリーダーであり、また編集者でもありました。

この「君たちは・・・」はそもそも戦前(1937年)に発行されたにもかかわらず、戦後も売れ続けました。1962年(昭和37)に漢字などの修正版が、1967年(昭和42)に再度修正され今の作品になったそうです。

本当にお恥ずかしい話ですが私はこの小説を

読んだことがありませんでした。

その分を取り返すために今回2冊まとめて読んだわけではありませんが(笑)

以前名前は聞いたことがあったように思いますが実際に読んだことは一度もなかったのです。今回初めて読んでみて「もし今自分が主人公と同じ15歳だったら、もし同じ時代に生きていたら」を考えました。

当時の自分がこれを読んだとしてどう感じるかを推測することは難しいことですが、正直「すばらしい!心に残る本だ!」と感動したと言える自信はありません。しかしその後自信をなくすことがあったり、落ち込んだり悩んだりした時に何度も読み直していたのではないかという確信みたいなものは持てました。

この本は誰にとってもきっとそういう本なのだと思います。だからこそ80年もの長い間読み継がれてきたのでしょう。

主人公の名前は本田潤一、旧制中学の2年生(15歳)みんなからコペル君と呼ばれています。今とは違って中学は義務教育ではありませんでした。当時の義務教育は小学校までで、小学校の成績が優秀かつ裕福な家庭しか中学への進学は難しかったのです。

コペル君のお父さんは銀行の重役をしていましたが3年前に亡くなり、今はお母さんと二人暮らしですが女中さんが二人います。ですからコペル君も当時のエリートといってもいいでしょう。

小説のなかで、なにか派手な事件が起きるわけではありません。またその年齢によくあるような恋の話が出てくるわけでもありません。ただコペル君の学校や友人関係というごく狭い世界の日常の出来事がすべてです。

その日常の出来事を通してコペル君は「人間とは何か?」「社会とは何か?」を真剣に考えるようになります。

コペル君は立派な人間になるために後悔と向き合い、もう一度立ち上がろうとします。言い換えれば、失敗があっても、自分の意志で自分の生きる道を決めていく人間になろうと必死で立ち上がるのです。

私はこの「君たちは・・・」の一つのテーマは「立派な人間になるために」ではないかと考えます。いじめ、貧困、学問、勇気など日常の出来事を通して人間としてどう成長していくかは今も昔も同じなのです。

コペル君のあだ名のきっかけになったコペルニクスの話からは自分ばかりを中心にして物事を判断していると世の中の本当のことは知ることができないことを・・

貧しい友人からはこの世には貧困がありどれほど多くの人が不幸に沈んでいるか、貧困の中で精一杯生きる姿から人間の真の価値とは何かを・・・

いじめられていた友人、そしていじめに立ち向かった友人の行動からは単なる理屈や説明ではなく真実の経験を重ねることでしかわからないものがたくさんあることを・・・

勇気を持てなかったばっかりに友を裏切ってしまった、この世から消えてしまいたいくらいの悔恨の思いからは、正しい生き方をするためには決してその思いから逃げてはいけないことを・・・

この本から多くのことを考えさせられます。この本は「君たちはこう生きろ」とは書かれていません。ただ問いかけるだけです。「君たちはどう生きるか」と。

小説とマンガではいくつかの違いがあります。小説では最後に書かれているエピソードがマンガでは冒頭に登場します。強いインパクトから始めたいという羽賀さんの意図が感じられます。

またこの物語のキーマンであるコペル君のおじさん(お母さんの弟)がコペル君のために書き綴ったノートブックの結末も小説とマンガでは違っています。

そのおじさんが綴ったノートブックの箇所はマンガでも延々文字だけのページが続きます。ノートの部分をマンガ(キャラクターの会話)形式で描くのは無理があったのだろうと思います。

貧乏な友達、浦川君の両親が営むとうふ屋の屋号が全然違います。なぜだかわかりませんが全然どうでもいいことでした。

マンガだけでも十分この本「君たちは・・・」で吉野源三郎が君たちに伝えたかったことは伝わるのではないだろうかと思います。もちろん小説が読める人は読んでみるのがいいけど、マンガの中にもこの物語の肝であるおじさんのノートブックはそのまま書かれているし日常のテーマにどう向き合うべきかを考えることができる名著だと思います。

最後にマンガを描いた羽賀翔一さんの顔を見て驚いてしまいました。コペル君とそっくりやん!

Buzz Feed NEWSより

それでは今日はこのへんで

最後まで読んでくれてありがとうございました。