昨日(5月24日)から奈良市立富雄南中学校3年生は九州へ修学旅行に行っています。早朝5時50分集合だったようで、みんな寝坊しないで行けたでしょうか。
旅行から帰ってきた日が中間テスト6日前。かわいそうに思い出に浸っている間もなくテスト勉強が待っています。行く前に覚えたこと、博多駅のゴミ箱に捨ててくるんじゃねえぞ!
ということで今日は修学旅行について思ったことを書いてみました。
修学旅行は日本独自のものらしく、そもそもの始まりは明治の中ごろ東京高等師範学校(現筑波大学)で始まった「長途遠足」が由来だとか、11日間も行われたという記録が残っているらしく、まぁ、一つの行軍訓練のようなものだったのではないでしょうか。
昭和に入って中学校、小学校でも伊勢・橿原・金比羅といった国家神道教育に通じる「神社」を目的とする修学旅行が盛んに行われたらしいです。
太平洋戦争が終わって1950年代になると国家主義を否定する立場から行き先は自然と京都や奈良になっていったということです。
1960~70年代は修学旅行専用列車が走り、80年代になると飛行機利用も増加し、特に私立高校では円高の影響もあって行き先に海外を選ぶ学校もでてきました。
※ 近鉄 修学旅行専用列車 あおぞら号
※ 1988年には修学旅行中の高知県の高校生が中国上海で列車事故に巻き込まれ生徒27名と引率教師1名の尊い命が奪われるという事故も発生しました。
また費用に関しては公益財団法人日本修学旅行協会「データブック2013教育旅行年報」(2012年度分データ)によると
中学校の修学旅行費用の平均は
国立:7万2177円
公立:5万6978円
私立:8万287円
全体の平均は6万1952円
ということになっています。これが高校になると
旅行先が国内の場合
国公立:8万7654円
私立:11万3142円
全体の平均は9万7486円
旅行先が海外の場合
台湾:11万2483円
韓国・中国・マレーシア・シンガポール・ミクロネシア:16万円以内
ハワイ:20万円以上
オセアニア・欧米は26万円以上
平均費用は20万705円
まったくの余談ですが、うちの息子さんパート2は高校の修学旅行はオーストラリア、費用は20万以上だったことを今思い出してしまいました。
修学旅行の金額については「何でこんなに高いの?」というご意見もよく耳にします。格安のパッケージツアーの金額を見慣れている我々にとっては確かに価格だけを見ると高く感じるかもしれません。
しかしその理由もいくつか考えられます。まず日程、行程、宿泊地、食事などすべてがフルオーダーであること。
また時期が他の学校と重なるため予約が早すぎて割高になってしまうこと、全行程に添乗員さんが付き添い、すべてのトラブルに対処してくれること、現地での移動はほぼすべて貸切であるなどです。
少なくとも引率の先生方の旅費が生徒の費用から出されているなんてことはありません。
次に全国的に見ると人気の行き先順位は・・
そう、ダントツ関西方面ですね。 以下Jタウン調べ(2014年5~10月に調査)
全国では「関西」が一番人気で35.0%の得票率。レジャー化が指摘される修学旅行だが、歴史学習のスポットに事欠かず、宿泊先も整っている京都・奈良はやっぱり定番だ。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)が2001年に開園したことで、旅行プランの組み合わせがさらに豊富になったことも見逃せない。
次いで多かったのが「東京」で20.1%。東京へやって来る修学旅行生は東京ディズニーランドに立ち寄るケースも少なくなく、「その他関東」を合算すると23.3%になる。
3番目に多かったのが「九州・沖縄」で16.5%。関西や中国、四国地方の中学校だけでなく、九州の学校も旅行先に九州を選ぶことが多い。
Jタウン調べ(2014年5~10月に調査)
上の「Jタウン」の調査結果では「歴史学習のスポットに事欠かず、宿泊先も整っている京都・奈良はやっぱり定番だ。」と書かれてはいますが、奈良県内の宿泊者数は観光県を目指している割には年間通して悲惨な結果です。昼に「大仏」「法隆寺」を見学、宿泊は大阪か京都というのが定番のようです。
ちなみに国交省・観光庁による「都道府県別延べ宿泊者数2017年」の調査によると
1位 東京都 宿泊者数 59,087,920人
2位 大阪府 宿泊者数 30,366,080人
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46位 奈良県 宿泊者数 2,552,560人
47位 徳島県 宿泊者数 2,314,910人
となっています。
また「都道府県別宿泊施設・客室稼働率2017年」の調査では
1位 大阪府 稼働率 84.8%
44位 奈良県 稼働率 45.4%
これまた最下位付近です。ちょっと驚きの結果です。さすがにビジネスマンの宿泊は少ないと思いますが、世界遺産の数は全国1位(3ヶ所)、国宝の数は東京、京都に次いで3位(198件)これだけの文化遺産や歴史的建造物を持っていながら観光客の宿泊すら少ないということですね。
ホテルや旅館にとっていつも半数以上の客室が空室状態というのは経営的にもどうなんでしょうか?
最近の修学旅行の傾向をみていると従来からの国会議事堂やスカイツリーなどのランドマークや歴史的建造物に加え東京ディズニーR、USJ、長崎ハウステンボスなどのテーマパークは根強い人気のようです。
また民泊体験、ラフティングや農作業などの自然体験型リクレーションを取り入れる学校も増加しているようです。
まとめ
一生の思い出となる修学旅行だからといってあまりにも高級志向で良いホテルに泊まり、ただの物見遊山の旅行ではダメだし、かと言って「安かろう悪かろう」になってしまっては元も子もありません。
関係者の方々が知恵を絞り、生徒さんや保護者が納得のいく妥当な内容と金額で修学旅行を実施することがこれからも求められていくのではないでしょうか。
じゃ、今日はこのへんで。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
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